ダイヤモンドライクカーボン(DLC)とは

ダイヤモンドライクカーボン(Diamondo Like Carbon)は、英語の頭文字をとってDLCと略されます。カーボンは炭素で、ダイヤモンドのような炭素という意味になります。DLCはダイヤモンドとグラファイト(黒鉛)の構造が混在した物質です。成膜方法によって、ダイヤモンドに近い特性にしたり、グラファイトに近い特性にすることができ、用途に応じて特性を変えることができます。

  ダイヤモンド構造
  グラファイト構造

DLCの特性としては以下のようなものがあります。

硬い傷がつきにくい耐食性耐薬品性
人体に優しい表面が滑らか耐摩耗性相手材料の損傷が少ない
汚れが付きにくい抗菌性透明度が高い赤外線を通す
紫外線を通さないガスを遮断する電気を通さない

DLCは自動車部品などの各種部品やハードディスクのコーティング(表面処理)として使われています。その他にはペットボトル内面にコーティングを施すことで酸化防止による品質維持などがあります。

DLCの分類

DLCは、ダイヤモンド構造や水素量の比率によって4種類に分類されます。

①は水素を含まない膜で、最もダイヤモンドに近い特性を持っています。

②と④は共に水素を含んだDLC膜ですが、ダイヤモンド構造の比率が多いと②に分類されます。

③は水素を含まない膜で、グラファイトに近い特性を持っています。

DLC成膜方法

DLCの成膜方法として大きく以下の2種類に分かれます。

プラズマCVD法

CH4,C2H2,C6H6,C7H8等の炭化水素ガスを原料にCVD装置にて成膜する方法です。炭化水素ガスを用いるので、水素を含んだDLC膜ができます。

PVD法

黒鉛等の固体原料を用いて成膜をする方法です。基本的に水素を含まない成膜方法ですが、PVDのスパッタ方式では成膜速度を上げるために炭化水素ガスを用いることがあります。その場合、水素を含んだDLC膜ができます。

リンテックの強み

弊社のマスフローコントローラMC-3000L SeriesはDLC成膜の原料となる炭化水素ガス、特にC7H8といった液化ガスの流量制御に対して強みがあります。

液化ガスは少しの圧力や温度によって液化してしまいます。弊社のマスフローコントローラはダイアフラム構造のコントロールバルブを採用しています。これによりデッドボリュームを減らし、ガス置換性に優れているので、ガスが滞留することなく液化を抑制できます。その他にも低差圧仕様、中温仕様のオプションを付けることでより液化リスクに対応した製品となっています。

また、液化リスクを抑える方法として液化ガスを加熱し、高温用マスフローコントローラ(MC-3000L-TC Series)で流量制御する方法がありますが、MC-3000L Series+オプションに比べコストが高くなります。

MC-3000L Series

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