リンテックのガスマスフローコントローラ(以下MFC)又はマスフローメータでトラブルが起こった場合、修理依頼を出される前に一度下記内容に従い、チェックしてみてください。また、修理依頼を出される際には、製品返送時のお願いを確認の上、返送をお願いします。
トラブルと対策
- ガスが流れっぱなし(流量出力振りきれ)
推定原因
- バルブ強制制御入力にオープン信号が入っている
バルブ強制オープンモードになっていると外部からの流量設定入力にかかわらずバルブが強制オープン(全開)状態になります。
- センサに詰まりが発生している
逆パージを行い、症状から復帰するか確認してください。復帰しない場合、弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- センサ部でガスの再液化が発生している
パージ、真空引きを繰り返し行ってください。回復しない場合は弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 過大な差圧がかかっている
ご使用製品の仕様圧力範囲内の差圧にてご使用ください。
- センサ、バルブ、PCBの故障
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- ガスが全く流れない(流量出力が0のまま)
推定原因
- バルブ強制制御入力にクローズ信号が入っている
バルブ強制クローズモードになっていると外部からの流量設定入力に関わらず強制的にバルブがクローズ(全閉)状態になります。
- バルブに生成物等の異物が詰まっている
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 差圧が足りない
ご使用製品の仕様圧力範囲内の差圧にてご使用ください。
- センサ、バルブ、PCBの故障
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- ゼロ点がずれている(オフセットする)
推定原因
- 本体への衝撃によるもの
流量センサ部は衝撃の影響を受けるとゼロ点の位置が変動する恐れがあります。変化量が2%以内の場合、ゼロ点を再調整することでご使用いただけます。2%以上の場合は、弊社へ点検依頼を推奨します。 ゼロ点調整方法 修理依頼フォーム
- 本体の加熱によるもの
MFCにベーキング等の熱衝撃をかけたときに、センサのゼロ点が変化する場合があります。ゼロ点を再調整してください。 ゼロ点調整方法
- センサ管のつまりによるもの
センサにガス以外の異物が付着するとゼロ点はオフセットします。パージを行ってください。
パージを行っても改善しない場合は、弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 経年変化によるもの
変化量が2%以下の場合、ゼロ点を再調整することでご使用いただけます。2%以上の場合は弊社へ点検依頼を推奨します。 ゼロ点調整方法 修理依頼フォーム
- 低域流量の制御が出来ない
推定原因
- バルブに生成物等の異物が付着している
バルブシート部に異物が付着した場合、シャットオフ性能が低下します。弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 過大な差圧がかかっている
ご使用製品の仕様圧力範囲内の差圧にてご使用ください。
- バルブの故障
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 高域流量の制御が出来ない
推定原因
- 差圧が足りない
ご使用製品の仕様圧力範囲内の差圧にてご使用ください。
- バルブに生成物等の異物が詰まっている
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- MFCの出力がハンチングする(流量が安定しない)
推定原因
- 過大な差圧がかかっている
ご使用製品の仕様圧力範囲内の差圧にてご使用ください。
- 入口または出口圧力の変動によるもの
逆止弁やコントロールバルブ等がMFCの上流に設置されていると急激な圧力変動が生じる可能性があります。必ず調圧されたガスを導入してください。
- センサ、バルブ、PCBの故障
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 設定値と出力値に差がある
推定原因
- COMラインの処理が不適切
MFCのCOMラインはシングルエンド仕様です。高精度な制御が要求される場合は、電源(設定器、表示器)側の各COMラインを接続しないでください。
- PCBの故障
弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- 設定値より多く流れる(吐出量が多い)
推定原因
- センサ内部の詰まりによるもの
センサへの流れが悪くなると、設定値よりもガスの吐出量が多くなります。弊社に修理をご依頼ください。 修理依頼フォーム
- センサの変化によるもの(ゼロ点、感度)
ゼロ点がマイナス側へシフトしている場合、シフトした分、流量が多く流れます。ゼロ点調整を行ってください。 ゼロ点調整方法
- 設定値より少なく流れる(吐出量が少ない)
推定原因
- バイパス部の詰まりによるもの
バイパスへの流れが悪くなると設定値よりもガスの吐出量が少なくなります。弊社に修理をご依頼ください。
修理依頼フォーム
- センサの変化によるもの(ゼロ点、感度)
ゼロ点がプラス側へシフトした場合、シフトした分、流量が少なく流れます。ゼロ点調整を行ってください。 ゼロ点調整方法
- 応答性が遅い
推定原因
- 差圧不足によるもの
仕様に準じた差圧にてご使用ください。
- SLOWモードに設定されている
制御モード設定がSLOWモードに設定されている可能性があります。FASTモードに設定してください。
- 設定2%以下での制御がおかしい
推定原因
- 2%CLOSEの設定がされている
2%CLOSEの設定がONになっていると設定2%以下にて無条件にバルブがクローズになります。
- 2%HOLDの設定がされている
2%HOLDの設定がONになっていると設定2%以下においても2%の制御を維持します。
ゼロ点調整方法
精度よくゼロ点調整を行うために、下図のようにシャットオフバルブを閉止する等、MFC前後の差圧(流れ)がない状態にしてください。可能であればMFCもバルブクローズ信号を入力(閉止状態)にしてください。
下記写真の赤枠内のようにMFC上部にゼロ点調整用の押しボタンスイッチがありますので、先端の細いもので押してください。その時の流量をゼロ点としてリセットされます。
※通信設定が初期値にリセットされますので、5秒以上の長押しはしないでください。
製品返送時のお願い
修理依頼などで弊社製品を返送する際は、下記の点に注意して返送してください
- 十分にパージ、真空引きを行い、完全にMFC内から流体を除去してください。
- 必ず継手にキャップを付け、ゴミや外気が入らないようにしてください。
- 反応性の高い流体を使用した場合、窒素置換をお願いします。
- 注文時の仕様ガスと実際に使用したガスが異なる場合、必ず使用したガスを明記してください。
- 不具合内容をできるだけ詳細に記載をお願いします。
- MFCの破損を避けるため、梱包の際は緩衝材等を使用してMFCに強い衝撃が加わらないようにしてください。
以下の場合、修理・点検はお受けできません
- 放射性ガスを使用した場合
- 返送されたMFC内部に液体などの不明物質が残留している場合、残留している物質が何であるかを明記してください人体への安全のため、明確になるまで修理点検はできません。
また、危険性の高い物質の場合はお断りする場合があります。